この記事でわかること 辛い気持ちになる原因 辛い気持ちを軽減する方法 「性同一性障害(性別違和)を理解してもらえなくて辛い」「学校で性自認とは違う扱いを受けるのが辛い」と感じている人へ。 私は性同一性障害の当事者で、皆さんと同じように辛い思いをしていたことがあります。 しかし、今ではほとんど自分が性同一性障害であることを意識しなくなり、辛く感じることも少なくなりました。 この記事では、私の体験談を交えながら辛い気持ちになってしまう原因と対処法を解説します。 辛い気持ちをどう解消していけばよいか分からないという人は、この記事があなたの辛い気持ちを払拭できる手立てになれば光栄です。 この記事を書いているのは・・・ 埋没くん(GIDラボ運営者) 幼少期から自分の性別に疑問を感じており、16歳で「性同一性障害」の診断を取得。17歳からホルモン治療&埋没生活を開始⇨19歳で胸オペ⇨23歳で子宮摘出手術&男性へ戸籍変更。今では9割の友人・知人がFTMであることを知らない。北海道出身、20代後半、1児のパパ。 ▼時間がない方は読みたいところからチェック! 性同一性障害で辛いと感じてしまう原因とは? 性同一性障害であることによって、辛いと感じる原因は人それぞれ。 まず「なにが辛いのか」を意識することが、辛い気持ちに対処するための一歩です。 辛いと感じる原因が分かっている人も分からない人も、おもにどのような原因があるのかを確かめておきましょう。 1.性同一性障害によるアイデンティティの混乱 自分の体の性と性自認が異なることで、「自分が何者なのか分からない」「どのように振る舞ったらよいのか分からない」と混乱してしまうことがあります。 本来の自分らしさが分からなくなり、アイデンティティが不安定になってしまうのです。 アイデンティティの混乱は、性同一性障害だと気づき始めた初期の頃に起こりやすく、人によってはうつ病などの精神疾患につながる恐れも。 とくに思春期の多感な時期に重なると、よりアイデンティティの混乱を引き起こしやすいです。 2.周囲からの理解不足や偏見 家族や友人、学校の先生など、周囲からの理解が得られなかったり、偏見の目で見られたりすることによって辛いと感じる人も多いです。 勇気を出してカミングアウトしたのに理解を得られず、拒絶されたり冷たい対応をされたりすれば、誰だって辛い気持ちになります。 「性同一性障害である自分が悪いんだ」と感じてしまう人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。 性格が十人十色であるように、ジェンダーも十人十色です。 3.ジェンダーに関する社会的な制約 トイレや温泉、学校の授業など、日常生活のなかで性自認に合った過ごし方ができず、苦痛に感じる人も多いです。 こういったジェンダーに関する社会的な制約は多くの場面で起こるので、日常的に辛さを感じてしまいますよね。 性別記入欄のない履歴書や誰でも利用できるトイレなど、最近では社会的な制約が少なくなってきていますが、まだまだ辛い場面が多いのは事実です。 性同一性障害による辛さを軽減する方法【対処法】 ここからは、性同一性障害による辛さを軽減するための方法をご紹介します。 ご紹介するのは、当事者である筆者が辛い時期に行なっていたことや「あの時これをしていれば良かった」と感じている方法です。 ハードルが高いと感じる方法ばかりかもしれませんが、辛い気持ちを和らげて〝自分らしく生きる〟ためにも実践してみてください。 カウンセリングや精神療法を受ける 性同一性障害の診断や治療を進めるためではなく、心のケアのために病院・クリニックに通うのも一つの方法です。 辛い気持ちを一人で抱え込んでしまうと、うつ病などの精神疾患に繋がってしまう可能性もあります。 一度うつ病になると、完全に健康的な状態に戻るのは難しいです。精神科医の樺沢紫苑さんも、うつ病の難しさについて語っています。 「うつ予備軍」とは「風船がはちきれそうな状態」で、「うつ病」とは「風船が破裂した状態」。予備軍の段階で膨らんだ風船の空気を抜くのは簡単ですが、破裂した風船を完全に修復してもとに戻すのは極めて難しいのです。 出典:うつが「すぐ治る人」「重症化する人」の決定的差/東洋経済オンライン そのため、なるべく早い段階でカウンセリングや精神療法を受けることが大切です。 性同一性障害専用の相談窓口やクリニックもあるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。 性同一性障害の当事者と交流する TwitterやInstagramなどのSNS、LGBT団体、イベントなどで性同一性障害の当事者たちと交流してみるのもおすすめです。 同じ悩みを共有できる友人や知人がいるだけで、辛い場面を乗り越えられたり、気持ちが軽くなったりします。 筆者は幼馴染に性同一性障害の当事者がおり、子どもの頃から辛いことを二人で乗り越えてきました。 辛い気持ちを軽減するだけでなく、治療などに関する情報交換もできるので一石二鳥です。 周囲にカミングアウトして理解を求める とても勇気がいることではありますが、家族や友人、学校の先生など、周囲に性同一性障害であることをカミングアウトするのも一つの方法です。 はじめは相手も戸惑うかもしれませんが、理解のある人なら、あなたの気持ちに寄り添ってくれます。 筆者はカミングアウトして周りの認識が変わったことで、格段に生きやすくなりました。 ただし、人によっては理解できない人もいます。「絶対に理解してくれる」という気持ちでカミングアウトすると傷ついてしまうこともあるので、「理解してくれないかもしれない」ことを頭に入れておきましょう。 余計に辛い気持ちになってしまうのは避けたいところです。 性同一性障害の診断をうける 性同一性障害の診断をうけていない場合は、専門の病院やクリニックで診断をうけましょう。 正式な診断をうけることで様々なメリットがあります。 性同一性障害の人が辛いと感じるのは、本来の自分と周囲や社会からの扱いにギャップがあることで生じやすい、と感じています。 そのため、辛さを軽減するにはギャップを埋めていくことが大切です。 ただし、医師からの診断がなければギャップを埋めるための行動は取りにくいので、まずは診断を受けることをおすすめしています。 身体的な治療を進める 医師の診断を受けたあとの話にはなりますが、ホルモン療法や性別適合手術などの治療を進めることでも、辛い気持ちを軽減できます。 性同一性障害の当事者にとって一番辛いのは、身体の性と性自認が異なることではないでしょうか。 治療を進めることで性自認に身体を近付けることができますし、条件を満たせば戸籍上の性別も変更できます。 保険が適用されたとはいえ、お金がかかることなので簡単に進められないかもしれませんが、ひとつの選択肢として考えておきましょう。 性同一性障害の筆者が皆さんに伝えたいこと 最後に、いまも辛いと悩んでいる性同一性障害の人たちへ、筆者から伝えたいことがあります。 それは、いまが辛くても自分次第で幸せになれるということです。 私自身も周りに理解してもらえなかったり、信頼していた人にアウティングされたり、本当に辛くて死んでしまいたいときがありました。 ですが、目の前の問題と向き合い、自分のためにできることを行なっていくことで、少しずつ性同一性障害による辛さは減っていきました。 今では戸籍も男性になり、学生時代から付き合っていた女性と結婚をして子どももいます。 だから、皆さんも目の前にある壁を乗り越えていけば、きっと幸せになれるはず。 無責任かもしれませんが、そう信じています。 まとめ 今回は性同一性障害の当事者が辛いと感じる理由や対処法についてご紹介しました。 辛いときだからこそ、原因としっかり向き合い、未来の自分のためにも対処していきましょう。 あなたは一人ではありません。きっと幸せになれますよ。