埋没くん

職業:ライター&編集者 【経歴】17歳からホルモン治療&埋没(周囲にカミングアウトしないこと)開始▶︎19歳で胸オペ完了▶︎23歳で内摘&戸籍変更完了! ●友達の9割は僕がFTMであることを知りません ●北海道出身の20代後半

性同一性障害(性別違和)とは?特徴や原因、種類まで【当事者が解説】

GIDの基礎知識

【当事者が解説】性同一性障害(性別違和)とは?特徴や原因、種類まで

2023/3/14  

この記事でわかること 性同一性障害の種類や原因 性同一性障害の特徴 性同一性障害の診断方法 性同一性障害は治るのか 最近ではテレビやニュースで取り上げられることが多い性同一性障害。 『心と身体の性別が一致しない人』とザックリは知っていても、原因や特徴などについてはわからないですよね。 この記事では、性同一性障害とはどういったものなのかを詳しく解説します。 この記事を書いているのは・・・ 埋没くん(GIDラボ運営者) 幼少期から自分の性別に疑問を感じており、16歳で「性同一性障害」の診断を取得。17歳からホルモン治療&埋没生活を開始⇨19歳で胸オペ⇨23歳で子宮摘出手術&男性へ戸籍変更。今では9割の友人・知人がFTMであることを知らない。北海道出身、20代後半、1児のパパ。 ▼時間がない方は読みたいところからチェック! 性同一性障害(性別違和)とは? 性同一性障害(性別違和)とは、身体の性別と本人の性自認が一致していない人のことを指します。 別名で「GID(Gender Identity Disorder)」や「トランスジェンダー」ともいいます。 性同一性障害とは、生物学的な性と性別に関する自己意識(以下、「性自認」と言う。)が一致しないため、社会生活に支障がある状態とされます。 出典:文部科学省 一般的に「性別」は、身体が男性と女性のどちらであるかによって決められますよね。 ほとんどの人は身体で決められた性別に違和感をもたず成長しますが、性同一性障害の方の場合はそうではありません。 性同一性障害の方は、子どものころから身体的な性別とは反対の性別としての認識があります。身体も心も成長していくにつれて、自分の身体や社会的な認識に違和感を感じてしまうのです。 性同一性障害の原因については、次項で解説しています。 埋没くんちなみに現在の正式名称は「性同一性障害」ではなく『性別違和(性別不合)』となっているんですよ。 性同一性障害の種類 性同一性障害の種類は「FTM」と「MTF」の2種類。 FTM(Female to Male) 生まれもった身体が女性、性自認が男性の人のこと。 MTF(Male to Female) 生まれもった身体が男性、性自認が女性の人のこと。 基本的には、出生児の性別がどちらにあるのかによって異なります。 埋没くんちなみに私の場合はFTMです。 性同一性障害の人口割合 LGBT研究所や日本労働組合総連合会による調査では、性同一性障害の割合は1.8%という結果が出ています。 つまり、100人に1人〜2人が性同一性障害を抱えているのです。 出典:「LGBTに関する職場の意識調査」日本労働組合総連合会 出典:「LGBT意識行動調査2019」LGBT総合研究所 「思っていたよりも多いな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 性同一性障害を含むLGBT全体でみると10%となっており、10人に1人がセクシャルマイノリティー(性的少数派)。 あなたやご家族が性同一性障害だとしても、けっして珍しいことではないのです。 性同一性障害の原因 悩む人性同一性障害の原因ってなに? 実は、原因についてはよく分かっていません。埋没くん 性同一性障害の歴史が浅いことなどから、原因はまだ解明されていません。 しかし、性同一性障害の原因としていくつかの説が提唱されています。 2021年時点でもっとも有力な説とされているのは「身体の性別とは反対に脳の性分化が行われた」というもの。 人間は胎児のときに身体が形成されていく段階で、さきに身体の性別が決まり、そのあとで脳の性別が決まります。 この脳の性分化が行われるときに「なんらかの理由で身体的性別とは一致しない性分化が行われたのではないか」という説です。 大阪医科大学の准教授・康純氏も下記のように述べています。 現段階でいえることは、生まれつき体の性と心の性が異なっているという感情を持っている人たちのなかには、生物学的な問題という背景がある方は存在するだろうということです。 出典:Medical Note 性同一性障害はまだまだ研究が進んでおらず、原因について解明されていないものの、脳と身体の性分化が関わっている可能性があるのです。 埋没くんこの説なら、幼少期から自分の身体的な性に違和感を感じていたのも納得がいきますね。 性同一性障害の特徴は5つ! 性同一性障害の方には5つの特徴があります。 人によって程度は異なりますし、すべての特徴に必ず当てはまるわけではありませんが、今後の参考に知っておきましょう。 性同一性障害の5つの特徴 子どもの頃から反対の性としての遊びを好む 身体に違和感や嫌悪感がある 反対の性の身体になることを望む 身体とは反対の性だと強く感じている 身体と同じ性役割を求められても拒む、嫌がる ※当てはまっていても性同一性障害とは限りません。自己診断はせずに精神科を受診しましょう。 1. 子どもの頃から反対の性としての遊びを好む 女の子ならおままごとや人形遊び、男の子ならヒーローごっこなど、一般的にはジェンダーによって好む遊びも違いますよね。 性同一性障害の方の場合は小さい頃から、身体的な性とは反対の性としての遊びを好む傾向があります。 例 (出生時の性別が)女の子の場合 ヒーローごっこを好む (出生時の性別が)男の子の場合 おままごとを好む もちろん、性同一性障害ではなくても井手上漠さんのように、身体的な性とは反対の性の遊びを好む方もいます。 あくまでも1つの特徴として考えてください。 埋没くん私も子どもの頃はヒーロごっこをしていたり、戦隊もののアニメを好んで見ていました。 親は男まさりだなぁ、と思っていたそうです(笑) 2. 身体に違和感や嫌悪感がある 自分の身体に違和感や嫌悪感を感じるのも、性同一性障害の特徴の1つです。 生まれもった身体的な性とは反対の性自認があるため、自分の身体が気持ち悪いと感じてしまうのです。 人によっては胸や性器を傷つけたりしてしまうことも…。 埋没くん私は思春期の頃に膨らんだ胸がイヤで殴りつけたりしていたことがあります。 自分が望まない変化は、当事者にとってすごく苦しいものです。 3. 反対の性の身体になることを望む 性同一性障害の当事者は、生まれもった身体とは反対の性(性自認である性)の身体になることを望みます。 性自認と身体が合っていないことで辛さを感じているため、本来のあるべき姿になりたいと思うわけです。 4. 身体とは反対の性だと強く感じている 先ほどと似ていますが、身体的な性別とは反対の性であると強く感じていることも特徴の1つです。 ご両親からすると、何かの影響や思い込みなのでは?と思うかもしれませんね。 しかし、これは脳の性分化に関わることです。どのような環境下にいても、性自認は変わりません。 5. 身体と同じ性役割を求められても拒む、嫌がる 自分とは反対の性役割を求められると拒否したり、嫌がるのも特徴の1つです。 ...

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性同一性障害の簡易診断テスト!診断を受けられる病院や診断までの流れを解説

2023/3/14  

この記事でわかること 性同一性障害の診断テスト 診断を受けられる場所 診断方法や流れ 診断にかかる期間や料金 診断書をもらうメリット 性同一性障害の診断を受けられる場所や方法などについて知りたくても、情報を集めるのは大変ですよね。 この記事では、性同一性障害の診断を受けるための情報をすべてまとめています。診断を受けようと考えている方は必見です。 この記事を書いているのは・・・ 埋没くん(GIDラボ運営者) 幼少期から自分の性別に疑問を感じており、16歳で「性同一性障害」の診断を取得。17歳からホルモン治療&埋没生活を開始⇨19歳で胸オペ⇨23歳で子宮摘出手術&男性へ戸籍変更。今では9割の友人・知人がFTMであることを知らない。北海道出身、20代後半、1児のパパ。 ▼時間がない方は読みたいところからチェック! 性同一性障害(性別違和)の自己診断テスト 性同一性障害の正式な診断を受ける前に、自分が性同一性障害の特徴に当てはまっているのかを知っておくことも大切です。 性同一性障害の専門クリニックである『自由が丘MCクリニック』から、自己診断テストを抜粋しました。 出典:性同一性障害、性別違和の診断テスト|自由が丘MCクリニック ※自己診断テストは、性同一性障害を診断するものではありません。性同一性障害の可能性があるかを個人で判断するものです。 他サイトでも性同一性障害の診断テストはありますが、「DSM分類(精神疾患の診断・統計マニュアル)」や「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」などの公的な根拠にはもとづいていません。 特徴に当てはまっていても性同一性障害だと決めつけずに、医師のいる機関で診断を受けましょう。 性同一性障害(性別違和)の診断はどこで受けられる? 性同一性障害の診断は、病院の精神科やメンタルクリニックで受けることができます。 ただし、どこでもよいというわけではありません。 GID学会に所属しているなど、専門的な知識をもつ精神科医がいる病院やクリニックでなければ診断を受けられません。 診断を受けることができる病院・クリニックを探す方法 当サイトでは、性同一性障害の診断を受けられる医療機関を一覧でまとめています。 関連記事 GID(性同一性障害)の診断ができる全国の医療機関リスト 病院なびやホスピタのような病院検索サイトを参考にするのもよいですが、実際に検索してみると性同一性障害の治療しか行なっていない(診断ができない)病院も多く表示されていました。 埋没くん病院を探すのにも精神的に負担がかかりますよね。当サイトでは診断を行っている病院のみご紹介しています。 また、一般的には医療体制の整っている"医科大学附属病院"を受診するケースが多いです。 筆者の場合は、最初に某医大附属病院で診察を受けましたが精神科医との相性が悪く、東京都のはりまメンタルクリニックにかかりました。 お住まいの地域によっては、遠方でしか診断を受けられない可能性もあります。 診断には精神科医2人の診断が必要! 日本では、基本的に性同一性障害の診断・治療を「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に沿って行っています。 悩む人性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインってなに? 日本精神神経学会が定めたもので「性同一性障害の診断や治療はこういう手順でやっていきましょう!」と記しているルールブックみたいなものです。 精神科医はこのガイドラインに沿って診断や治療を行うことになっています。埋没くん このガイドラインでは、性同一性障害の診断には精神科医2人の診断が必要だと定められています。 2 人の精神科医が一致して性同一性障害と診断することで診断は確定する。 出典:性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第4版改) 2カ所の病院やクリニックに行かなくてはならないわけではなく、1つの病院で対応してくれることもあるので事前に確認しておきましょう。 性同一性障害の診断方法や流れ 性同一性障害の診断は、性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインに沿って下記の流れで行われます。 性同一性障害の診断の流れ ジェンダー・アイデンティティの判定 身体的性別の判定 除外判定 診断の確定 それぞれどういった方法で行われるのかについて、ご紹介していきますね。 1. ジェンダー・アイデンティティの判定 「ジェンダー・アイデンティティの判定」では下記のような流れで、担当の医師が本人の性自認は男女どちらにあるのかを明らかにします。 医師による聴取 担当医師がこれまでの養育歴や普段の生活、性行動について聴取していきます。 性別違和があるか検討 聴取した内容をもとに、医学的知識から性別違和があるのかを検討します。 ジェンダー・アイデンティティの判定 検討した結果、下記の3つがあるかを基準にジェンダー・アイデンティティがどちらにあるのか、担当医師が判定していきます。 自らの性別に対する不快感、嫌悪感 反対の性別に対する強く持続的な同一感 反対の性役割を求める 性同一性障害の診断では、初診時に"自分史"の提出を求められます。 自分史は、幼少期から現在までの生活や性行動をまとめたもの。自分史には、どんな子供だったか?なにが嫌だったか?いつどんな人を好きになったのか?などを記述します。 とくに形式などは決まっていません。 担当医師は自分史をもとに、本人が日常生活をどのように送ってきたのかについて詳しく聴取し、性自認がどちらにあるのか判定を行います。 埋没くん聴取では、子どものころはどんな遊びをしていたのか、友達は男女どちらが多いのか、いつから性別に違和感を覚えたのかなどを聞かれます! 2. 身体的性別の判定 ジェンダー・アイデンティティの判定が終わったら、つぎに「身体的性別の判定」を行っていきます。 ここでは生まれもった身体が女性または男性であるかを調べます。 なぜわざわざ調べるの?と思うかもしれませんが、実は性分化疾患などの身体的な異常によって性別違和を感じている場合もあるのです。 性同一性障害と性分化疾患は別物です。性同一性障害は「性分化疾患の亜種ではないか」という研究論文もありますが、ハッキリとは分かっていません。 そのため、性同一性障害の診断をするにあたり、染色体や内性器または外性器に異常がないのかを調べます。 検査内容をFTM(身体が女性で性自認は男性)、MTF(身体が男性で性自認は女性)別にまとめてみました。 FTMの場合 MTFの場合 婦人科医が担当します。 染色体検査、ホルモン検査、内性器・外性器の診察と検査などを行います。 泌尿器科医が担当します。 染色体検査、ホルモン検査、内性器・外性器の診察と検査などを行います。 検査した結果をもとに、精神科医が身体的性別の判定を行います。 3. 除外診断 ジェンダー・アイデンティティと身体的性別の判定が終わったら、つぎに「除外診断」を行います。 除外診断では、本人が性別違和を感じている理由に精神疾患や過去のトラウマなどが影響していないかを判断します。 埋没くん性同一性障害以外の可能性がないのか確かめるということですね。 4. 診断の確定 最後に、担当の精神科医が1〜3までの結果を総合的にみて、性同一性障害(正式には性別違和)の診断を確定します。 正式な診断には、担当の精神科医ともう1人の精神科医による2人以上の診断が必要です。 参考 精神科2人以上の診断といっても、かかっている病院・クリニック内で対応してくれることもあります。 事前に、診察を受ける予定の病院に聞いておくとよいでしょう。 性同一性障害の診断にかかる期間 性同一性障害の診断を受けるまでにかかる期間は平均6カ月ほどです。 通院頻度などにもよるので、人によって期間は異なります。早い人で3カ月、遅い人でも1年くらいで診断がおります。 最初に診察を受けてから1年以内には診断がおりる、と考えておきましょう。 ちなみに筆者のTwitterでアンケートを取ったところ、3カ月以内に診断がおりている方が多かったです。 みなさんがGIDの診断にかかった期間ってどれくらいですか?回答いただけると嬉しいです🙇‍♂️ ...